wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

混戦(17)

ミサイルを振り切ろうにも機体の推力があがらない。
田辺は咄嗟に生きている機体左にあるシールドジェネレータを作動させる。
さらに壊れたシールドジェネレータ分のエネルギーを送り込む。
設計限界を超える強度の光の防壁がブラック・アウトの左側面に発生した。
長距離ミサイルは防壁に激突し、爆発。
シールドジェネレータが異常加熱、爆発の危険性があるとしてエリスはシールドジェネレータ2基を切り離した。
機体内部のエーテルの流れを阻害していた要素が消えたことにより、推進器が生き返る。
ブラック・アウト、最高速度でコピーのブラック・アウトを振り切ろうと試みる。
素早く田辺は機体の状況を確認する。
使用可能な武装は機銃、AMS2門、空対空ミサイル2発。
シールドジェネレータやミサイルを使ったことで随分と軽くなったものだ。
格闘戦能力は高くなったに違いない、と田辺は考える。
エリスも同じことを考えているだろう。
「勝てると思うか?」
田辺はエリスに軽い調子で問うた。
「難しいと判断する」
そこでエリスは一拍おいた。
まるで呼吸を整えるように。
「勝ちたい。その為には」
エリスの言葉に重ねるように田辺も同じ言葉を続けた。
「力を貸して欲しい」