wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

ReSTARTER(6)

機体の表面温度が一瞬で1000℃を超え、黒の装甲が赤に変わる。
フレア1の爪が空けた穴から熱が侵入し、内部構造を破壊していく。
エリスは田辺との感覚共有を制御し、機体のダメージが彼に痛みとして伝達されないようにする。
『コントロールを寄越せ』
『ユー・ハブ』
『I have』
内部防壁閉鎖、回路バイパスを瞬時行い、ダメージの拡大を防ぐ。
破壊されている部分は追加装甲部分で、機体の構造体そのものにダメージは及んでいない。
表面の装甲が焼かれ、灰になっていく。
フレア1のEBSは熱に力を入れているようだ。
表面温度は2000度に達しているが、コックピットは50℃程度に抑えられている。
良い機体だ、とエリスはブラック・アウトを評価する。
大気圏再突入が前提になっている機体と、フレア1の能力特性に救われた。
旧ブラック・アウトならパイロットもろとも灰になっていたに違いない。
機体のチェック完了、全系統異常なし。
『反撃に移る』
田辺にそう宣言すると、エリスはブラック・アウトの第1装甲と補助推進器を切り離した。
灰色になった装甲は切り離されると同時、細かく砕けて、散る。
『そうだよなぁ、簡単にはやられないよなぁっ!!』
後方のカメラがその場に浮かんでいるフレア1の姿を捉える。
この状況であっても彼は戦闘を楽しんでいるらしい。
身軽になったブラック・アウトは瞬時に音速を突破し、フレア1を引き離す。
ブラック・アウトの本領発揮だった。
『You have control』
『アイ・ハブ・コントロール
コントロールを渡されて田辺はブラック・アウトを反転させる。
背を地に向ける形だ。
右方向に機体を回転させて、背を空、腹を地に向けると、
『決着をつけようか、フレア1』
『来いよ、ブラック・アウトっ!!』
ブラック・アウトの正面にフレア1が見える。
最初とは逆の形だ。