wired raven : Automatic Wing

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

ReSTARTER(3)

正面から敵の機兵が2機、こちらを迎撃に向かってくる。
そのうちの1機から指向性通波。
ブラック・アウトを撃墜したフレア1からのものだ。
反射的に田辺はそれに応じた。
『聞こえるか、ブラック・アウト』
落ち着き払った男の声だ。
「感度良好。良く聞こえるぞ」
『俺はフレア1だ。先ほどお前を撃墜した』
敵の真意がわからない。
心理作戦かもしれない、と田辺は考える。
エリスは電子戦に備えて警戒している。
『サシでお前と戦いたい』
声は落ち着いているが興奮を押し殺している気配が混じっていた。
「それは決闘ということか」
『そうだ』
フレア1の言葉に反応して、もう一機の機兵が後退していく。
「本気のようだな」
『せこい手を使って勝ってなんになる』
もしかすると、フレア1のパイロットは犬歯をむいて笑っているかもしれないな。
「その通りだ。仲間にも伝達する」
エリスは否定せず、味方との通信を開いた。
田辺が簡潔に状況を説明すると、仲間たちはあっさりと許可を出した。
フレア1はフレア隊の中でもトップの腕前だったからだ。
「そちらはどうだ?」
『邪魔はさせねぇよ。何のための決闘だ?』
くくく、と言う笑いが無線から漏れてきた。
良い笑いだ、と田辺は思う。
「確かにな」
実際、他の敵機兵は第500飛行隊の機竜と交戦状態であり、ブラック・アウトとフレア1の近くには存在しなかった。
もちろん、攻撃範囲外だ。
「カウントはどうする?」
『このまま、正面からすり抜けたら戦闘開始でどうだ?』
旋回性能は向こうの方が上だろう。
だが、ここで断るのも男としてのプライドが許さなかった。
「わかった。良いだろう」
『そう来ないとな』
肉眼でもはっきりと、フレア1の姿が見える。
燃えさかる炎を押し込めたような赤の機兵。
互いに速度を上げて叫んだ。
『行くぞ、ブラック・アウトっ!!』
「来い、フレア1!!」
黒と赤の機体が空中で交差した。