ブラック・アウトが射程にとらえるよりも早く、相手の拠点防衛用機竜が攻撃を仕掛けてきた。
こちらに向かって飛来してくるのは16連の青の光だ。
田辺は右方向にブレイク。
だが、光も角度を変えてブラック・アウトに迫る。
蛇のようにしつこい奴だ、と田辺は思った。
追尾する光を見てエリスは叫んだ。
「バカなっ!!」
それもオープン回線で。
当然、敵にも聞こえているだろう。
叫びとは裏腹にエリスはAMSを後方の追尾ビームに向けて発射。
AMSのビームと反応して、敵の追尾ビームが爆発する。
黒の機竜は反転し再度、距離を詰めながら、
「エリス、何で叫んだ?」
「相手にこちらが混乱していると認識させるためだ」
「しかし、この会話はオープンだ。相手も聞いている。つまり、混乱していると嘘つく気はないわけだ」
「そのようだ」
「ははは、こいつぅ」
「似合わない台詞だ」
「相手もそう思ってるだろうな」
田辺の言葉を肯定するように16連のビームと2門の超長距離ビーム砲がブラック・アウトに向けて放たれる。
ブラック・アウト、再び回避行動。