「ごめんね」
と彼女は言った。
「何で謝るんだ?」
「だって」
とそこで彼女は言いよどんだ。
「だって……」
「俺の、こちら側に来れないからか」
画面の向こう、少女がゆっくりと首を縦に振った。
彼はコンピュータの前に座って、
「それは、お互い様だ」
彼女の目であるWebカメラを真っ直ぐ見て、
「逆に俺は君のいる世界にはいけない。君が謝るなら、俺も謝らなければならん」
「脅しみたい」
「謝ったところで、俺たちの存在形式が変わるわけじゃないんだ。謝るだけ無駄だ」
「不器用。そんなこと言うから相手が見つからないんだよ」
「お前以外にいらん」
「え」
「何か聞こえたのなら空耳だ」