『敵、機竜群は第1世代から第2世代の機竜を改良したものと推測される。各機、油断するな』
新しい情報を入手次第、すぐに送信する、とオールシーイングアイ。
エクスカリバー1、エクスカリバー2は一度、補給のために空中空母に戻っていた。
「まさか、お前と共闘する羽目になるとはねぇ」
無人機械が自動的に弾薬を補充し、装甲の簡易補修を続ける。
「そう言うゲームらしいから、な。プレイヤーの名前、聞いてなかったな」
シートに身体を沈めてゆっくりと田辺は尋ねた。
視界の一部にエクスカリバー2のコックピットとパイロットの姿が重ねって見える。
彼はヘルメットを外して、
「紅蓮だ」
散らした赤の髪の毛、鋭さのある赤の瞳、まさに炎だ。
「紅蓮、か」
「良い名前だろ?」
「悪くないな」
「そう言うのは素直に良いって言うもんだろ。ったく、性格が悪いぜ」
紅蓮の言葉に田辺は苦く笑う。
名乗ろうと田辺が思ったところで、
「ところで田辺さんよ」
「なんだ?」
「この戦い、勝てると思うか?」
「良い勝負にはなるだろうな。勝つかどうかは向こうの気分次第だろう」
「はぁ?」
「向こうは真っ当な手段で機竜を確保してない。もしかすると、望むように物を生み出せるのかも知れん」
田辺は今まで得た情報から考えられる敵の姿を紅蓮に話す。
「その手段がチートか何かはわからん。が、ゲーム内に目的があるとは思えない」
「何処かのギルドじゃない。そうなると、土地や資源が欲しいわけでもない」
「ゲームの外に目的があると考えても良い。たとえば、Extreme Worldのサービス終了などだ」
「一端の工作員じゃねぇか」
カメラに向かって身を乗り出して、語気を荒げる。
「あくまで可能性の話だよ。少なくとも、戦うこと自体に目的は思う」
「じゃぁ、目的はなんだろな」
「誰かの気を引くため、と言うのも考えられる」
「それにしちゃあ、やることがでかすぎだろ。そうだな、腕試しってのはどうだ?」
田辺はゲーム内に目的はない、と否定したが紅蓮の言葉に考え直す。
「腕試し、か」
ヘルメットを被りながら、
「あれだよ、ハッカーがウィルス作るようなもんだ」
「フムン、その可能性はありそうだ」
「エクスカリバー2、補給完了」
「エクスカリバー1、補給完了」
正面の大型ゲートが開き風が吹き込む。
その遙か向こうには戦場が見える。
「エクスカリバー隊、発進する」