wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

混戦(5)

『敵、機竜群は第1世代から第2世代の機竜を改良したものと推測される。各機、油断するな』
新しい情報を入手次第、すぐに送信する、とオールシーイングアイ。
エクスカリバー1、エクスカリバー2は一度、補給のために空中空母に戻っていた。
「まさか、お前と共闘する羽目になるとはねぇ」
無人機械が自動的に弾薬を補充し、装甲の簡易補修を続ける。
「そう言うゲームらしいから、な。プレイヤーの名前、聞いてなかったな」
シートに身体を沈めてゆっくりと田辺は尋ねた。
視界の一部にエクスカリバー2のコックピットとパイロットの姿が重ねって見える。
彼はヘルメットを外して、
「紅蓮だ」
散らした赤の髪の毛、鋭さのある赤の瞳、まさに炎だ。
「紅蓮、か」
「良い名前だろ?」
「悪くないな」
「そう言うのは素直に良いって言うもんだろ。ったく、性格が悪いぜ」
紅蓮の言葉に田辺は苦く笑う。
名乗ろうと田辺が思ったところで、
「ところで田辺さんよ」
「なんだ?」
「この戦い、勝てると思うか?」
「良い勝負にはなるだろうな。勝つかどうかは向こうの気分次第だろう」
「はぁ?」
「向こうは真っ当な手段で機竜を確保してない。もしかすると、望むように物を生み出せるのかも知れん」
田辺は今まで得た情報から考えられる敵の姿を紅蓮に話す。
「その手段がチートか何かはわからん。が、ゲーム内に目的があるとは思えない」
「何処かのギルドじゃない。そうなると、土地や資源が欲しいわけでもない」
「ゲームの外に目的があると考えても良い。たとえば、Extreme Worldのサービス終了などだ」
「一端の工作員じゃねぇか」
カメラに向かって身を乗り出して、語気を荒げる。
「あくまで可能性の話だよ。少なくとも、戦うこと自体に目的は思う」
「じゃぁ、目的はなんだろな」
「誰かの気を引くため、と言うのも考えられる」
「それにしちゃあ、やることがでかすぎだろ。そうだな、腕試しってのはどうだ?」
田辺はゲーム内に目的はない、と否定したが紅蓮の言葉に考え直す。
「腕試し、か」
ヘルメットを被りながら、
「あれだよ、ハッカーがウィルス作るようなもんだ」
「フムン、その可能性はありそうだ」
エクスカリバー2、補給完了」
エクスカリバー1、補給完了」
正面の大型ゲートが開き風が吹き込む。
その遙か向こうには戦場が見える。
エクスカリバー隊、発進する」