wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

混戦(12)

紅蓮は機体を造反した部隊に向ける。
左右を見れば黒や灰、空の色の機兵が並び、上を見れば機竜隊がV字隊形で雲を引いている。
敵も機竜と機兵の混成部隊のようだった。
良く見れば新型の機兵も混じっている。
彼の乗っている機体よりも、機動性も高く航続距離も長い。
より空と親和性の高い。
だから、と紅蓮は冷静に考える。
こちらの方が不利とも有利とも言えた。
機兵が真価を発揮する格闘戦では機体の強度や重さがものを言う。
強度が低ければ打撃をすることも、打撃を防ぐことができない。
重さが軽ければ速度はでるが、一撃が弱くなる。
後はパイロットの技量次第だ。
『各機散開しろ』
機竜と機兵の陣形が左右と前後から崩れて、空に散らばっていく。
散らばってできた空間の中央を光線が貫いた。
すぐさま彼はその方向を睨んだ。
その部分だけ切り取ったように拡大され、青色の機兵が見えた。
「オリジナルかよ」
データバンクを検索したが該当する機体は無い。
何処か華奢な感じのするデザインの機兵だ。
本体の印象とは逆にそれが構えている大型の狙撃銃は無骨だった。
彼は少女と大きな武器と言う不釣り合いさを覚えた。
しかし、と前置きをしてから、
「いつまでもその場にいるのは素人だよなぁ!」
赤の機兵が爆発的な加速を見せる。