朝の6時、外は明るくなっている時間だが寝室は暗い。
窓際の遮光カーテンがその力を思う存分に発揮しているからだ。
今日の小惑星接近予測から察するに午前中はゆっくりできるだろう。
一騎はもう30分ぐらい寝ようか、とまぶたを閉じようとした。
「私たちは知り合い、友人、恋人の段階を飛ばしているのだな」
ここのところ、昼間にやっているドラマの影響だろうか、と一騎はどこか微睡んだ頭で考える。
「ふむ。ギルドメンバーがスタートラインだから、知り合いではあるだろう」
「そうだとしても、友人と恋人の段階は飛ばしている」
ギルドのメンバーとして接していた頃は友人でもなかったな。
一緒に攻城戦に参戦したこともあれば、クエストをこなしたこともある。
が、それは機竜のパイロットの田辺と機竜のエリスの関係だ。
「確かにそうだ」
頭は覚めてきたようだ。
横からエリスの視線を感じて、一騎は寝返りを打つようにしてエリスの方を向く。
「む」
一騎が思うよりもエリスはずっと、近くにいた。
その状態で体を動かしたので、結果的に一騎はエリスを抱く形になってしまった。
「問題はあるまい」
と彼の腕の中、赤い瞳で見つめながらエリスは言った。
「昔なら問題はあったがな」
「その頃の私にセクハラの概念はなかった」
それは、俺の気持ちの問題だよ、と一騎は苦笑する。
「話を戻すがエリス。段階を飛ばしたことが惜しかったのか」
「惜しかった。だが、一騎とならこれが最適な答えだと判断する」
「ふむ」
「今は時間が惜しい」
エリスは一騎に唇をそっと重ねる。
一騎はエリスを引き寄せるように抱いて、
「違いない」
一騎はエリスに唇を重ねた。