「チャットルームでこの家を再現すると言ってもどうするんだ?」
一騎はエリスに尋ねた。
「アンドロイド用ソフトウェア『Sight Hijacker』を使用する」
視界を乗っ取るとはどういうことなのか、と一騎が考えているのを察して、
「見ているものをそのまま、チャットルームのオブジェクトにするためのツールだ」
ふむ、と頷く一騎にエリスは部屋をゆっくりと見渡しながら、
「今、私の視界には部屋全体が見えている。これら全てを登録することも、この中の一部だけを登録することも可能だ」
「それは便利だな。手間が省ける」
「オブジェクトの登録はお前に任せて、俺は本棚に収める本を探すよ。さすがにこのままだと彼女には良くないだろう」
「妥当な推測だ。本の選定は一騎に任せる」
「了解」