音速超過の速度で距離をとりながら、フレア1は後方で火球に飲み込まれるブラック・アウトを見た。
あれで仕留められると彼は考えていなかった。
シールドにダメージを与えることが彼の目的だったからだ。
火球を突き破って、黒の機竜が姿を現す。
シールドは纏ったままだった
「はは、化け物め。やりがいがあるじゃねぇか」
今度はこちらの番だ、と言うようにブラック・アウトはフレア1に向けて近距離ミサイル2発を発射。
フレア1、擬似熱源を放出しながら急上昇。
ミサイルは熱源に吸い寄せられて起爆、火の玉を作り出す。
その横をすり抜けてブラック・アウトが下から挑むようにフレア1に突っ込んでくる。
黒の機竜が機銃を掃射。
フレア1はボードの先端を左の手で掴んで、引き上げ、さらに重心を移動させて機銃弾を回避。
上空にすり抜けたブラック・アウトへ向かって、レールキャノンを速射する。
ブラック・アウトは機体下面にあるスラスターを使い水平に移動し、弾体を避けるが計算の内だった。
空になったレールキャノンを投げ捨て、軽くなった身体でブラック・アウトに食いつく。
犬歯を見せる笑みを浮かべて、
「掴まえた」
赤の鋭い爪がブラック・アウトのシールドに食い込んでいた。
さらに強く握れば、爪が空けた穴からシールドに割れ目が生じていく。
黒の機竜の推力がフレア1の装甲を加熱するが、耐えられる範囲だ。
構わずフレア1はブラック・アウトのシールドを突き破り、本体を捉えた。
黒の装甲が歪み、拉げる。
フレア1の放熱スリット、光学センサーを初めとする各種センサーを防護壁が覆う。
代わりに胸部のスリットが開き、
「吹き飛べぇっ!!」
エーテルバーストシステム作動。
フレア1の支配下にあるエーテルがすべて攻撃の威力に変化し、ブラック・アウトに直撃する。