ラッダイトだけはご容赦を(姫宮フィーネ) - カクヨムで連載中の短編集の裏側について軽く。
今回はざっくりとした作り方や執筆環境、生成AIを使い方と使った感想でネタバレはなし。
もう少し話が公開できたらネタバレにならない範囲で設定資料とか掲載できたらいいなー、と思う。
執筆の流れ
まずは、この作品を読み終えたときにこんな風に思ってほしい、とゴールを決めた。
プロットは数話単位で書いて繋がりが妥当かをひたすら練るのを繰り返して、ゴールに向かって伸ばしていくイメージ。
並行して本編の執筆をして、変更があればプロットに手を加えていくのを繰り返した。綺麗にプロット書けた、と思ったら、キャラが意外な動きをして、後半はひたすら微調整の繰り返し。エンディングの大幅変更はしていない。
背景の設定はいつも通り、好きなものの詰め合わせ。既存の技術の延長線上に存在するけど、何段階か駆け上がっている何か。
執筆ツール
- エディタ: Visual Studio Code
- バージョン管理: Git + GitHub
Gitを使ったバージョン管理はさすがにやりすぎか、と思ったが、変更差分の見やすさや戻しやすさは創作でもかなりの利点。
ブランチ戦略は細かいこと考えず、main ブランチに直接 push している。もう少ししたらブランチ分けをどうするか考えるかもしれない。
生成AI「Claude.ai」
ChatGPTを含めていくつか試して、一番しっくりきたのが「Claude.ai」で気がついたら有料プランを契約していた。
用途は文章校正やプロットと設定の矛盾がないかの検証、文章の表現がテーマとあっているかの確認など。
LLMで読み取れないのなら、人間にも読み取れない、という仮説に基づいて、読みやすい表現を模索する試みでもある。
もう少し踏み込んだ話
プロジェクト設定
専用のプロジェクトを作成して、GitHubと連携して、必要なファイルを都度読み込ませる。
よく使ったファイルは次の3つ。
- プロット
- 登場人物の簡単な設定
- 用語集や簡単な年表を含んだ設定資料
プロンプト
プロットの整合性チェック
プロットの第0話から第1話で整合性があるか確認してください
その話のプロットが表現できているかチェック
第xx話を執筆しました。 プロットを表現できているか分析してください。 プロットが読み込めない場合は必ず教えてください。 (本文貼り付け)
誤字脱字などのチェック
文章の校正をお願いします。 観点は ・誤字脱字 ・タイポ ・不自然な表現 (本文貼り付け)
体感、8割ぐらい見つけてくれるイメージ。
誤判定もあるので参考程度に使うのが無難、最後は人の目になる。
加筆前と加筆後の比較
プロジェクトで対象の話を読み込ませてから、プロンプトを実行する。
x話の加筆案です。 加筆前との変化を比較し、影響を分析してください。 (本文貼り付け)
最終確認
分析的な評価をお願いします。 観点は ・シナリオアーク ・キャラクター ・技術考証 ・文章の特徴や癖 ・強みと魅力 ・総評
あまり項目多いと短くなるので適宜調整。
強みと魅力はテンションを上げるのに効く。
気づき
- 生成AIの記憶量が少ないため、いかに少ない文字数でやりたいことを伝えるかが勝負
- プロットとその話の比較をする
- 前後の話を読み込ませて、展開の繋がりが自然か確認をする
- 使われている技法は何か、と聞いて、その結果をもとに調べると学びがある
- シナリオアーク、三幕構成、円環構造はいい発見だった。
- 設定考証はそれなりにできるが、ユーザーもイメージや知識を持っている必要あり
- 人に依頼しても発生すると思うけど、文章表現の仕方については戦いになる
- 単位時間当たりの生産性はあがる。が、誰かと話し合いながら作業するようなものなので、こまめな休憩がいる
- ネタだしや壁打ちに使える。この辺はChatGPTやCopilotのほうが得意な所感