wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

混戦(10)

甲型の武器の中でアリウムはこぶしを強く握っていた。
ころりと態度を変えた相手が気にいらないのだ。
ぐちゃぐちゃにかき回して、気が済んだらそそくさやめる。
そういうプレイはオフラインのゲームでやるべきだ。
さらに彼女が気に入らないのは正面から来る造反部隊だ。
不利な戦いだとわかった瞬間にこれだ。
アリウムは意地は無いの、と問いたくなるのを堪えた。
彼らの狙いはアリウムの後方にある大型の魔法陣の破壊だろう。
アリウムの前にいる重武装の剣士たちが盾を構えた。
パワードスーツを着込んだ剣士の一人が言う。
「銃剣士連中は突破してきた連中の始末を頼む」
隊長らしく、彼は周囲の剣士たちに二、三の指示を出してから、
「突撃する」
身体を低くし突撃を開始する。
響くのは突撃の足音とパワードスーツの力強い駆動音。
そして、狙撃手の銃撃だ。
味方の狙撃手が造反部隊に向けて銃撃を開始したのだ。
数分してから双方の部隊が防衛戦を突破し、奥に流れ込み始める。
アリウム、左腕の中を構えて射撃準備。
周囲にいる銃剣士たちも同じような姿勢をとり、射撃を開始した。
だが、アリウムを含む幾人かは撃たなかった。
その代わり、剣を構えてラインを突破してきた敵に向けて突撃する。
「行くよっ」