wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

変えようと思えばいくらでも形を変えられるが、用がなければそうする気は無かった。
理由はいくつかあるが、カシスという存在はこの姿である、と関連付けができていることが大きいに違いない。
そう彼女は考えながら久しぶりに姿を変えて外を歩いていた。
変えるといっても、大きな変化ではない。
少し背丈を大きくし、髪を伸ばした――普段より体を成長させた――だけだ。
彼女が今回、自分の特異な能力を使ったのは着ている服にあった。
知り合いから送られてきたこの服は彼女が大きくなった時のことを見越して作られていた。
その為、普段の彼女ではサイズが大きすぎて合わない。
せっかくだから、着てみたいという気持ちが彼女を動かして、姿を変えて歩くことになったのだった。
普段とは違う背丈なので、見える景色や物も随分と異なってくる。
建物のショーウィンドウに映る自分の姿は何処か楽しそうでもあった。
ガラスに向かって手を伸ばせば、ガラスに映りこんだ自分もこちらに向けて手を伸ばしてくる。
ショーウィンドウの前でくるりとまわるとスカートがふわりと広がる。
やはり、映る自分の姿は楽しそうだった。