wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

IFF: ENEMY

木製の桟橋の先、白の水着の少女が立っている。
長い金色の髪は潮風に靡き、空のように蒼い瞳が海をまっすぐ見ている。
手には一口だけ食べたと思われる棒アイスを握って。
その少女から15歩ほど後ろに離れた砂浜に白髪の青年が立っている。
彼は腕を組み、しばらく考えたあと、何か頷き、姿勢を低くし、走りだした。
砂が舞い上がり後ろに飛んでいく。
桟橋に入るとさらに速度はさらにあがった。
少女まで残り5歩のところで青年は強く桟橋を蹴って跳躍した。
右足を真っすぐ伸ばし、左足を曲げたその姿勢は特撮物の飛び蹴りを彷彿させる。
彼は斜め45度の角度で少女に向かって降下する。
青年が少女を海に蹴落せると思った瞬間、少女が左に一歩に動いた。
しまった、と青年は驚いた。
かつて少女のいた空間を青年は突っ切る。
驚きの顔を浮かべながら高速で過ぎていく青年に少女は微笑を送った。
青年が海に着弾し、水柱の中に消えていった。
あたりが静寂を取り戻すと、金髪の少女はしゃくっとアイスを食べた。