wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

「ま、マジぱねえっす!」
ヘゲルは軽いノリで相手の横薙ぎを後ろにステップして回避する。
防具の光学迷彩は効果がなく、着ているだけ邪魔になっていた。
子どもが布を被ってお化けの仮装をしたものと全く同じそれは、動けば空気を掴んで抵抗になる。
いっそう脱げば身軽になるが防御力は下がるし、
「裸はさすがになぁ」
ゲームいえど、さすがに裸は抵抗がある。
相手は剣で突いてきた。
「突っ込みが激しいなぁ、おい」
右に身体をひねるようにして長い刃をよける。
近距離、中距離は剣による攻撃、遠距離は多種多様な火器類で攻撃してくる。
どの距離でも武器を使い分けてくるため、苦手な距離とやらは存在しないらしい。
ならば、武器を持ち替える隙はどうだ、と狙ってみたがほとんどなかった。
剣を構え直すと思ったら、次の瞬間には2丁拳銃と言った状態だ。
「で、なんでお前さんは自動人形なのかと」
キャラクターの疲労が強くなっている。
負担が少ないように動いていると言っても限度がある。
それに対して相手は持久力のある自動人形だ。
時間が経てば経つほどヘゲルが不利になる。
「援護はこねぇしなぁ」
コンテナの陰に隠れてぼやく彼の二つ横のコンテナが中身をぶちまけた。
「……俺、これを切り抜けたら結婚するんだ」
フラグを立てつつ、ヘゲルは愛用の小剣を両の手に持って走り出した。