wired raven : Automatic Wing

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

星の屑・その後(3)

宣言通りの射撃が来るに違いない。
だから、私はコンテナを蹴って身体を斜め前へ。
相手が構えているのは狙撃用の銃で、近距離での取り回しは良くない。
元の位置でもお世辞にも良いとは言えない。
それに近距離にいけば、あの男の魔術も無力化できる。
左手の方を銃弾が通り抜けていく。
走りながら手にするのは対自動人形用の硬質ナイフだ。
装甲服ごと貫くには少々、心許ないが魔術で身体能力を強化している今ならいける。
「もらった」
口から漏れるのは勝利宣言にも似た何か。
でも、勝てるから、勝ったから何だというのだろう?
彼がいないのなら意味がない。
勝っても嬉しくない。
きっと、負けても悔しいなんて思わない。
突きだしたナイフが相手の細い身体を貫通するのがわかる。
自動人形らしい硬い感触。
ナイフを引き抜こうとして、
「抜けませんよ」
腹にナイフを刺されたままの少女が告げる。
身を硬くする私のナイフを持つ手を両の手で掴み、
「逃がしもしませんよ」
「これ以上、続けると報酬がゼロどころかマイナスになるしね」
背後から聞こえるのは青年の声。
この二人、仲が良いように見えるのになんて冷たいのだろう。
動揺の欠片すら感じられない。
プレイヤーは人以外の何かかも。
詠唱の声も聞こえる。
風系の魔術を使うつもりらしい。
風より氷の方が似合いそう。
「風よ 切り刻め!」
周囲の空気が流れる。
そこまでは感じることができた。
デッドダウンで暗くなる視界には少女の微かな笑みがずっと、見えていた。


最寄りの拠点に戻りますか? / キャラクターをデリートしますか?
ヘッドマウントディスプレイに白い文字が点滅している。
背景が黒いだけに余計に目立つ。
染みるのは疲れているから?
それとも、悲しいから?
何も考えることも感じられることもできない。
ディスプレイを放り投げるように外して、私はソファに身を投げた。