wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

アンブッシュ

ビルの合間でオフィーリアは突撃銃を構えながら、ある物体を待ち伏せしていた。
別に悪意があるわけでもないし、実質的な被害が無いのだから、実力行使する必要性も無いだろう、というのはエプシロンの談だが、やはり、好き勝手にされるのはあまり良い気分ではない。
銃を構えなおすのと声がするのは同時だ。
「さぁ、祭りの始まりだ」
声は後ろから。
咄嗟にスタングレネードを後ろに投げ込み、通りに走り出た。
すぐさま突撃銃のトリガーを引き、暴動鎮圧用のゴム弾を連続で叩き込む。
が、煙の中からは何の反応もなく、
「レイヤーの違いがわからんようだな」
今度は真上から声がした。
すかさず真上に連射撃。
左手は空中でステップし、弾をすべてかわす。
そのまま、くるっとまわってオフィーリアの正面に降り立った。
「それなら……っ」
オフィーリアが指揮者のように手を振るとありとあらゆる銃が空中に現れた。
それらは彼女の手の動きにあわせて配列を変え、円状になって彼女の周りを回転し始める。
円状になった銃はまるで生き物のように動き、左手を取り囲んだ。
瞬く間に逃げ場の無い殺人場が構築される。
「そう簡単に逃げられると思わないでくださいね」
それでも動揺することなく、左手は余裕ともいわんばかりに手のひらを見せる。
「これで終わりです」
躊躇いも無く、オフィーリアは広げていた両の拳を握った。
円状に展開していた銃という銃が火を吹き、左手に雨の如く降り注ぐ。
「レイヤーの違いがわからんようだな」
オフィーリアの視界が黒に塗りつぶされた。


ついかっとなってやってしまった。
今も反省していない。