wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

訓練風景 その2

「民間人の収容は完了していますよね」
確認するようにアルギズは尋ねる。
「ああ、収容率100%だ。それが正しいなら地上に誰もいない……それだ」
「残存する方々に連絡しました。反撃に出ましょう」
「だが、君が手伝ってはまずいのではないのか?」
あくまで彼女は今回のゲストであって、本来の戦力ではない。
「このままだと全滅してしまいます。それでは訓練にはならないでしょう?」
「それもそうだが……」
「大丈夫です。発案はあなたにしてありますから」
このアルギズというアンドロイド、物腰は穏やかだが随分とたちが悪そうだ。


「あら、察しのいい子もいるのね」
動きの変わった小隊を見ながらカシスはこぼす。
接触する前に攻撃されてしまい爆弾は炸裂する前に壊れていく。
「今回の訓練のゲストはアルギズだ」
「それはつまらない話だわ」
心の底からつまらなさそうなカシス。
「まぁ、そういうな。これで爆弾は使えなくなったぞ」
「いつも通りの戦いに戻すだけよ」
ハガラズがモニターを見れば見慣れた敵の姿がある。
だが、
「一回り小さいな」
「市街戦仕様と言ったところかしら」
意地の悪い笑みを浮かべてカシスは続ける。
「あなたたちが学んだように私も学んだわ」
「また、泥沼になるわけか」
ため息混じりにハガラズは続ける。


「FSとの市街戦を想定、と聞いていたがこれはねぇよなぁ」
休憩室には訓練でリタイアしたアンドロイドたちが集まっていた。
先に来た者は情報を整理し、あとから来た者が情報を追加する。
そして、皆で現状と作戦を考えていく形になっていた。
「いくら自由型とはいっても、この適応の高さはねぇ」
「今、残っているのは9小隊か」
「最初に沈んだのはやっぱり、俺らのような新米や新参組だなぁ」
「警戒が甘かったのよ、やっぱ」
「先輩方のお手並み拝見、と」